+- Prologue -+
【 3 】
***
私には最近、気がかりな事がある。
ひとつは生き別れたという双子の妹の事。
「父上が他界し、ひとりになったからだろうか…。」
その「妹」とやら。
父の部屋、母の部屋、地下の倉庫…どこを探させても
肖像画のひとつも残ってはいないので半信半疑ではあるし、
もともと大して気にしてもいなかった。
しかし、幼い頃に母が語っていた事を
何故か最近になって思い出すようになったのだ。
「…フン、私らしくもない。」
そしてもうひとつは、
最近見る、「夢」の事…
「ローザ様、こちらにいらっしゃいましたか。
…そろそろ、眠りの時間でございます。」
夜空を見上げぼんやり考えていた、
その思考が一気に現実へと引き戻される。
(今夜もまた、この時間がやってきたのね…。)
「えぇ、…今戻るわ。」
小さく息を吐き、
考えていた事を払拭するかのようにサッと踵を返す。
眠ろう。
さて、今夜は一体どんな「夢」を見るのか…
薔薇達は囁く。
「おやすみ、ローザ。良い夢を…。」
***
To the dream...
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